東秩父村の和紙

 11月27日に和紙が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されることが決定しました。登録対象となったのは、石州半紙、細川紙、本美濃紙で、それぞれの産地の伝統技術が国際的に評価された結果です。

 その中の1つ、細川紙の技術を伝えてきた地元・埼玉県東秩父村は、県内唯一の村で、山林が81.4%を占め、人口は県内最少の3,280人、人口減少率2.6%と平均年齢51.5歳は県内で最も高い条件不利地域です(2013年1月1日現在の埼玉県人口調査)。以前、和紙技術の伝承や後継者育成等の目的で作られた「和紙の里」を訪問した際、支配人の福島栄二氏から話を伺いました。

 福島支配人は「和紙の里」を村の中核施設として位置づけ、観光や体験学習、CSR活動の拠点として活用するとともに、村民がそこに集い、交流するためのコミュニティ施設としての活用も考えていました。

 原料となる木ときれいな水が豊富で、大消費地である江戸・東京に比較的近いという地理的条件もあって、和紙づくりが受け継がれてきましたが、戦後の経済構造の激変による後継者不足、需要減などによって、細川紙は存続が危ぶまれました。ユネスコの無形文化遺産登録によって、手作りの優しさや温かさ、地球環境に優しい紙として再評価されるとともに、村民が地域資源としての細川紙に愛着や誇りを改めて持ち、「和紙の里」に集って観光客など外部の人たちと交流することを切に望みます。(Y)

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