東京から日帰りで行けるワインリゾート・峡東地域

 今回は、東京から日帰りで行けるワインリゾート「峡東地域」についてご紹介したいと思います。

 
(出所) 甲府地方気象台ホームページより

(出所) 甲府地方気象台ホームページより

 「峡東地域」と聞いてもピンと来ない方が多いのではないでしょうか。峡東地域とは山梨県の笹子峠を東限に甲府盆地の東半分に位置する地域で、「笛吹市」「山梨市」「甲州市」の三市が該当します。

 

コラム②_赤葡萄 平成25年に世界遺産に登録された富士山を目当てに、当該地域にはインバウンドを含む多くの観光客が訪れています。

 富士山以外に、地域固有の資源として、「笛吹市」は石和温泉や桃や葡萄などの果物畑、「山梨市」は素晴らしい自然景観を有し、また「甲州市」はワインの銘醸地であるなど、様々な地域資源に恵まれています。

 四月になると可愛らしい桃の花が咲きみだれ、「桃源郷」と呼ばれるにふさわしく幻想的な風景を楽しませてくれます。

 

コラム③_ぶどうの丘ワインカーブ 世界的にも日本のワインが注目を集めるようになってきましたが、その先駆けがここ峡東地域の「甲州ワイン」です。

 甲州市が運営している宿泊施設「甲州市勝沼ぶどうの丘」の充実したワインカーブには甲州市の審査会に合格した約200種類のワインが貯蔵されていて、タートヴァン(注1)を買い求めると、全てのワインが試飲できます。海外のワインカーブのようで雰囲気もよく、夜景の綺麗な温泉施設「天空の湯」も楽しむことができる当施設は、大変人気が高い施設です。

 
(注1)タートヴァン:
ワインの色や香り、濁りを検査する道具。銀の小皿。ここでは試飲容器として
 

 近年、峡東地域以外にも長野、新潟や北海道など、国内におけるワイン生産地が増えてきました。日本国内のいずれのワイン生産地も、目指しているのは、短期間で商業的に大成功を収めた米国の巨大ワインリゾート「ナパ・バレー」です。ナパ・バレーはなだらかな美しい葡萄畑、感じの良いレストランやグロッサリー、ロッジなどが点在しており、地域全体が一体感のあるワインリゾートとなっています。興味深いのは、同じくナパ・バレーを目指していながら、ここ峡東地域のワイナリーの集積の成り立ちは他の地域のそれとは大きく異なっているという事実です。

 甲州地域のワイン産業は、地元の生食用葡萄の生産農家が売ることのできない出来の悪い葡萄を「どぶろく」のように自家消費用 「葡萄酒」として一升瓶に作って湯呑で飲んでいたところから始まっています。ここ峡東地域は、このように自然発生的にできたワイナリー集積地なのです。

 それに比べ、他の地域は、比較的最近になってワインの生産を始めた地域が多く、ナパ・バレー同様に、ある程度計画的に形成されてきたワイナリー集積地域であるため、比較的ナパ・バレーの成功要因を取り入れ易い地域となっています。

 
勝沼醸造 リーデルギャラリー

勝沼醸造 リーデルギャラリー

 そのような中、峡東地域においては、地元のワイナリーが中心となり、国内屈指のワインリゾートを目指し、ワインツーリズムを行い、個々のワイナリーがティスティングルームやギャラリーを設けるなど、様々な工夫をすることで地域資源の更なる活用を図っています。

 ワインというと大人しか楽しめないイメージもありますが、峡東地域では、世界遺産の富士山を眺め温泉につかり、季節ごとに花や果物狩りを楽しむこともできます。また、地元で採れた新鮮な食材を使った美味しい食事を頂くことのできるワイナリーもあります。週末に、ご家族ででかけてみてはいかがでしょうか。

 東京からだと、あずさ号に乗って勝沼に向かい、山間のトンネルの多い地域を抜けると、左手に美しい田園風景が広がってきます。中央自動車道を使っても車で一時間半程の距離で、日帰りや一泊二日の小旅行に最適です。  
 (T)