オーストラリアの公共投資(雑感)

昨年の10月にオーストラリアのシドニー、メルボルン、パース、ケアンズを廻ってきました。この移動の中で感じた、生活者(地域に根ざして働き・生活する市民)視点の公共投資のあり方について感じた点に触れたいと思います。

シドニーのピアモント橋は少し趣が異なりますが、メルボルンやパースでは川に架かる歩行者専用の橋を幾つか見つけることができます。しかも、この橋のデザインが意匠的にも魅力的で、歩いたり走ったりする移動時に高揚感を感じることができるのです!

日本では経済的・合理的な観点から地下道や歩道橋という歩行者に回避を強いる通路であったり、生活道を遠回りして自動車と一緒の橋になったりすることが多く、生活者としても当たり前と感じているように思います。

 

また、どの地域でも公園が豊富で美しく、しっかりメンテナンスされているのに非常に目がとまりました。州ごとに基準が異なりますが、パースではアルバイトの時給が2000円程度というため、こういった社会インフラの維持・管理にとてもコストがかかるのではないかと想像できます。

オーストラリアの経済状況から公共投資を強化しなければならない要因はあるように感じますが、箱物を造るだけではなく維持・発展させていく視点を持っていることが分かります。特に、川沿いや海沿いではウッドデッキなどの遊歩道が、利用され続けることを想定してきれいに整備され、夕方になるとウォーキングやジョギングなどを楽しむ老若男女で溢れている様子を見ると、これぞまさしく『サード・プレイス』(自宅や職場とは隔離された、心地のよい第3の居場所)なんだと納得できました。その周りに、カフェやパブ、レストランなどがあるのでなおさら心躍りますしね!

 

この事例を思いながら日本を見ると、造るのは大好きな割に使い続けていくことへの覚悟が足りていないのかなと思えたりします。造ることももちろん大事ですが、使い続けるために社会の資本をどのように投資するのかは我々次第ですから、このような視点で身近な地域を改めて見直してみるもの面白いのではないでしょうか。このコラムでは分析不足のオーストラリアの公共投資の詳細なども研究して、またいつか記してみたいと思います。(M)

 3Rコラム_20200108(写真は筆者撮影:左上段・右上段・左中段はメルボルン、右中段・左下段はパース、右下段はケアンズ)

※ジョギングに夢中で夕方の写真を撮っていないのが残念です