歴史が息づく温泉街・箱根湯本

 東京からもアクセス抜群の箱根温泉。その広大なエリアにはたくさんの温泉地が点在していて、多種類の泉質の温泉を楽しむことができます。数ある温泉地の中でも筆者がお気に入りなのが、箱根の玄関口である箱根湯本です。どちらかというと目的の温泉地までの通過点というイメージが強い箱根湯本ですが、箱根の中で最も歴史が古いエリアで、首都圏からのアクセスも良好です。今回は、そんな箱根湯本を、歴史を中心に紹介させていただきたいと思います。

UNADJUSTEDNONRAW_thumb_10d7c

 

 箱根湯本は、箱根の中で最も古い歴史をもつ温泉で、奈良時代に開かれたと伝えられています。この時開かれた源泉(惣湯)は今でも残っていて、熊野神社の社殿の下から今も湧き出しており、温泉旅館などで利用されています。北条早雲や豊臣秀吉などの戦国武将との関わりも深く、古跡が多く残されています。

 
箱根湯元・熊野神社近くにある温泉発祥地の石碑

箱根湯元・熊野神社近くにある温泉発祥地の石碑

 
北条早雲にゆかりがある早雲寺(工事中のため参拝できず)

北条早雲にゆかりがある早雲寺(工事中のため参拝できず)

 
鎌倉時代に建立された正眼寺

鎌倉時代に建立された正眼寺

 

 江戸時代になると、庶民の間で温泉旅行がブームとなり、箱根にも多くの湯治客が訪れたようです。江戸時代の浮世絵師である鳥居清長は、「箱根七湯名所」という作品を残していますが、人々が箱根の温泉を楽しむ様子が描かれています。
 明治・大正に入ると、道路や鉄道の整備が進み、箱根の温泉地がつながっていきます。有名な富士屋ホテル(宮ノ下)が開業したのもこのころで、外国人観光客も訪れるようになりました。

 
富士屋ホテル(現在改装中。2020年リニューアルオープン予定)

富士屋ホテル(現在改装中。2020年リニューアルオープン予定)

 

 昭和に入り、小田急線が新宿と小田原を結ぶようになってからは、利用客が大きく増加しました。明治・大正の箱根は、どちらかというと著名人などのお金持ちが利用するイメージが強かったのですが、昭和に入ってからは一般庶民にも親しまれる温泉地になっていきます。
 箱根湯本は、国指定重要文化財や国登録有形文化財に指定されている宿や食事処、古い歴史を持つ寺社仏閣が点在しており、見所がたくさんあります。

 

UNADJUSTEDNONRAW_thumb_10d7f

 

 もちろん温泉も素晴らしいです。箱根湯本温泉の泉質は、アルカリ性単純泉が中心となっています。アルカリ性の温泉は、肌の古い角質を溶かしてくれます。トロリとした肌触りが特徴で、肌がすべすべに。乾燥肌に悩む筆者にとって、とてもありがたい温泉なのです。
 歴史の詰まった温泉街である箱根湯本に宿泊していただき、その魅力を是非堪能して頂きたいと思います。(N)